第21代IPBA会長(2011年4月~)
日本IPBAの会会長
弁護士法人大江橋法律事務所
歴史、文化、恵まれた自然、美味しい日本食、温かい人間関係など日本の良さは外国に行く機会が増えるほど再認識させられます。日本の良さを保ちながらこれからも発展し続けるためには、環太平洋・アジア地域を舞台にした活動が欠かせません。
私は、1991年のIPBAの東京での設立以来20年以上にわたってIPBA及び日本IPBAの会に積極的に参加してきましたが、多くの刺激を受け、信頼できる先輩・後輩・友人に恵まれ、参加し続けてきて本当に良かったと感じています。
日本IPBAで仲良くなったメンバーと共に、IPBA大会に参加し、世界的に著名なリーダーに会えるのも楽しみの一つです。私も、インドネシアのユドヨノ大統領、フィリピンのアロヨ大統領、シンガポールのリー・クアン・ユー初代首相、アル・ゴア元米国副大統領、iPS細胞で著名な京都大学の山中伸弥教授、GoogleやAppleを育てたことでも有名な弁護士で在日米国大使ジョン・ルース氏、経済同友会代表幹事の長谷川閑史武田薬品工業株式会社社長などとお会いする機会を得られ、大いに刺激を受け、勉強させて頂きました。
アジアの時代と言われている今、アジアの主要な法域(jurisdiction)における有力な法曹の多くがIPBAのメンバーになっており、日本IPBAの会にも日本内外で活躍する多くの有力な弁護士、企業法務関係者が参加しています。自分の法律事務所や会社で一生働いていてもなかなか親しくなれないようなメンバーとも親しくなれます。
2011年のIPBA京都/大阪大会において、APECとIPBAは友好協定に調印しました。APECにとっては、外部の団体とこのような友好協定を締結するのは初めてのことです。2010年の日本、2011年のアメリカにおけるAPECの活動を受け、2012年にはロシアでAPECの各種の会議が催されます。IPBAでは、様々なセミナーやシンポジウムに専門家をスピーカーとして派遣することも検討しています。2010年のJapan Yearでは、二つのセッションで実際にIPBAからスピーカーが派遣されました。APEC側からも弁護士や企業法務関係者といった重要なステークホルダーからの協力を大いに歓迎すると言われています。
IPBAには20を超える専門の委員会がありますが、アジア各地域からも、自ら手を挙げて各委員会の副委員長・委員長として積極的に活躍する人が多くなっています。日本からも少しずつそのようなメンバーも出てきていますが、なかなか自分からは手を挙げにくいという場合も少なくありません。日本IPBAの会で、様々な委員会についての情報交換なども行い、適材適所で日本から各委員会にリーダーを送り込んで頂ければ大変ありがたいと思います。
2011年のIPBA京都/大阪大会においては、「Innovation」をテーマに、特別シンポジウムも開催されました。京都大学の松本紘総長が、専門化すればするほど全体が見えなくなるというパラドックス、成長すればするほど人口が増え、地球の破滅へと進んでいくというパラドックスなどを説明され、専門分野に横串を通すジェネラリストを育てる特別の大学院を設置することの重要性を力説されたこと、ルース在日米国大使が自らの経験に基づいて、Innovationを梃子に世界的な企業を育て、日本・アジアを活性化することができ、そのためには法律家などの専門家のインフラ整備が大変必要であることを説明されたこと、長谷川武田薬品社長が、これからのInnovationは、先進国における最先端の技術ではなく、中・後進国においても通用する技術・製品をいかに開発するかという意味でのInnovationが重要になってくると説かれたこと、そして何と言っても、山中教授がiPS細胞により難病に苦しむ人々を救済しうること、創薬プロセスに画期的な手法を導入できること、人間の様々な器官機能を再生することなどを通じて人類に貢献したいとの思いを、ユーモアを交えながら熱く語られたことが大変印象的でした。
今年の大会はインドにおいて行われます。間もなく世界最大の人口を有し、世界最大の民主主義国家で世界最大数の弁護士を擁し、長い歴史、文化、高レベルの科学技術を誇り、自然にも恵まれている躍動の国、インドです。
昨年は、大地震、原子力発電問題にもかかわらず、900名近い参加者が全世界から京都に集まりました。多額の義援金もIPBAメンバーから頂きました。この世界中からの支援に応え、今度は日本からアジア、世界へと熱いメッセージを送ることが大切です。インド大会はその重要な一歩となります。
皆さんが、IPBA日本の会、IPBAを通して環太平洋・アジア、そして世界へと羽ばたいて行かれることを期待しています。