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2012ロシアAPEC大会について

<報告>

 ■国谷史朗会員(日本IPBAの会 APEC委員会副委員長)

1.  2012年ロシアAPECの主要会議日程

2012年のAPECの首脳級会議(サミット)を含めた主要会議はロシアで行われています。以下はその主なものです。

6月
    貿易関係会合: カザン
  エネルギー関係会合: サンクトペテルブルグ
  女性と経済サミット: サンクトペテルブルグ

7月
  環境部門会合: ハバロフスク

8月
  中小企業関係会合:サンクトペテルブルグ
  電気通信・情報関係会合: サンクトペテルブルグ
  財務関係会合: モスクワ

9月2日~9日
  閣僚会議・首脳会議: ウラジオストック
 
2.  IPBA日本の会からの参加

上記の主要な会合のうち、関係者の日程等調整の上、日本IPBAの会のAPEC委員会から有志5人(国谷・石黒・石本・林・中山)が、8月1日と2日、サンクトペテルグルグの中小企業関係会合に出席しました。
会合の日本側窓口は、外務省ではなく経済産業省中小企業庁でしたが、外務省から、経済産業省に話を繋いで頂き、アレンジをして頂きました。
なお、本年の議長エコノミーは台湾でした。
IPBAは、21のエコノミーの代表、コロンビアなど加盟エコノミーではない若干のオブザーバー代表に加わる形で、オブザーバーとして参加しました。
初参加であるにも関わらず、議長のすぐ近くの席を与えられ、他のエコノミーと並んで発表の機会を与えられました。
 
3.  参加エコノミーとIPBAの発表/スピーチ/議論

各エコノミーから、各エコノミーで行われている中小企業の振興策等の様々な報告がありました。例えば、技術革新、環境技術への取組み、青年事業家・女性事業家の育成、大規模自然災害の場合の事業継続性、中小企業の国際投資規制の軽減、中小企業へのファイナンスの提供、贈収賄の防止策、中小企業の国際取引促進のための輸送手段の確保、日本の一村一品運動の拡大、ロシアのWTO加盟に伴うロシアにおける青年実業家・中小企業の動き、中小企業家への様々な教育制度などです。

IPBAは、APECの会合に組織として初めての参加でしたので、IPBAの概略を説明するとともに、IPBAがAPECやAPECの中小企業会合などにどのようにして貢献できるのかを、APECの各委員会の活動の概略報告とともに行いました。

経済産業省の代表の方の紹介で、議長エコノミーの台湾代表、次期代表となるタイ代表の女性、中国、韓国など他のエコノミー代表にも紹介して頂きました。

経済産業省代表からは、弁護士の参加は初めてであるが、弁護士会とは中小企業の海外進出に関して協力関係にあり、今後もIPBAの積極的貢献を期待する旨述べられました。
 
4.  IPBAのAPECに関する今後の活動

今回のロシア出張の経験を踏まえ、日本のAPEC関係の窓口である外務省APEC室との研究会、経済産業省、中小企業庁との協力、IPBAの次期ソウル大会におけるAPEC委員会のプログラムの構築などを具体的に進めて行きたいと考えております。

IPBA会員及びAPEC委員会関係者の御協力を宜しくお願いいたします。


<参加者の感想>

■石黒美幸会員(日本IPBAの会 APEC委員会副委員長)
中小企業支援に関する実務者ワーキンググループの会議に出席しましたが、発表の多くが各国の中小企業支援の取り組みや制度の紹介、情報の提供でした。APEC圏内の中小企業進出に関する各エコノミー共通の枠組みの策定を模索したり、障壁の検討・分析などを行う場の一つかと思って参加したので、いささか意外な気がしましたが、二国間あるいは多国間交渉の場ではないAPECの性質を考えると、自然な流れでもあります。各エコノミーの代表が集まり、情報交換をすることによって、また中小企業の支援という共通の課題を負う仲間となることによって、少しずつお互いの違いの溝を埋めていくことが期待される場として設定されているような印象を受けました。IPBAとしては、まずは各メンバーが、その属するそれぞれのエコノミーのAPEC窓口と関わりを持ち、交渉やロビー活動を含めた法的サポートの可能性を探ることにより、今後の両者のコラボレーションに繋がっていくと思われます。

■石本茂彦会員(日本IPBAの会 APEC委員会副委員長)
他の出席者の意見に反対や批判をするのではなく、あくまで柔らかく、お互いの議論が積み重ねられて行く・・・外交の現場としてはあるいは独特であるかも知れないAPEC・WGの空気に直に触れることができたのは、大変貴重な経験でした。また、「中小企業支援」という視点そのものについても、これが今後のIPBAの活動を拡げるひとつの切り口になるのではとの示唆を得られたような気がします。

■林依利子会員(日本IPBAの会 APEC委員会会員)
2011年IPBA京都大会では、IPBAとAPECのGroup on Serviceとの間で友好協定が締結されましたが、今回はさらなる協力関係構築の可能性を探るため、中小企業関係会合(Small and Medium Enterprises)の作業部会へオブザーバー参加を申し入れました。アジア太平洋地域には経済成長が加速する多くの国・地域が含まれており、中小企業の取引先として、また、ベンチャーにとってもビジネスチャンスの多い魅力的な投資先として、ますます重要となりつつあります。中小企業、ベンチャーの国際的ビジネス活動を支援するため、弁護士の知見により果たせる貢献と役割についてAPECでの各エコノミーの取り組みの状況等をふまえながら、さらに研究していきたいと思います。

■中山達樹会員(日本IPBAの会 APEC委員会会員)
 世界最北の100万人都市。古都ゆえの由緒ある建築物を多く堪能したほか、高緯度のせいで朝4時から夜24時まで明るいこと、建築制限により高さ30メートル以上のビルがほとんどない(そのため街並みがパリのように美しい)こと、すれ違う人の99%がコーカソイドである(アジア人や黒人をみかけない)こと 、東南アジアでよく見かける「追従的」笑みを見かけないこと(ウェイトレスの対応は誠にドライだ)、など異文化に触れる貴重な機会となった。求めて買ったロシア(ソビエト)元首のマトリョーシカ(下記画像添付)は2歳の愚息に愛され、3日後に早速踏みにじられて真っ先に破壊されたのは10体のうちレーニン。古都に己の名(レニングラード)を冠した共産主義の巨魁はここでも憂き運命に遭った。
 ロシア弁護士に訊けば、医療や自動車産業の未発達など、ロシアで日系企業が食い込む余地は十分大きい。だが日系企業の進出は芳しくない。その理由を尋ねると一言「Perception」。領土問題の影響は日露ビジネスにも影を落としているようだ。